10/12にSARS-CoV-2ワクチン後遺症研究会のWEB会議で北里大学・花木教授がイベルメクチンに関する話をするとの事で、後遺症治療に繋がる話が聴けると思って参加しました。

イベルメクチンはインポーチン阻害作用などからCOVID19治療薬として期待できるかもしれないと考えていましたが、副反応・後遺症に関しては作用機序が分からないためどんな話が聴けるか期待しました。

販売元のマルホがイベルメクチンにCOVID19への有効性が認められなかったと発表があったにも関わらず、花木教授の話はイベルメクチンのCOVID19への有効性の話ばかりで、他の人の話の流れからイベルメクチンがスパイク蛋白質を抑制するという話が出ただけで、具体的にスパイク蛋白質を抑制する機序などの話は無く、非常に残念でした。

マクロライド系抗菌薬との併用で効果が上がると言いましたが、イベルメクチン自体がマクロライド系抗菌薬ですので併用には疑問があり、結局はイベルメクチンもマクロライド系抗菌薬の持つ抗炎症・免疫活性作用で効いているだけかもしれず、初期にアジスロマイシンが有効と考えられて使用されていましたが結局は効果が認められないというデータが出たため今は推奨されていませんので、他のマクロライド系抗菌薬との比較試験も必要ではないかと質問しましたが、比較試験は必要ないと切り捨てられました。

しかしマルホの臨床試験を愛知医科大学・三鴨教授がしているらしく、そこでは他のマクロライド系抗菌薬との比較もしているようですので、どういう結果が出るか待ちますが三鴨教授は今まで散々、煽りまくってましたが、これを機会に上手く方向転換して逃げようとしてるように感じました。

一番興味深かった話は一旦、通った論文が編集長の一声で却下されたという話で、南アフリカはイベルメクチンに効果が認められなかったため推奨が取り消されていますし、アメリカからもイベルメクチンに効果が認められなかったという研究発表がある事も私から言いましたが、無効という論文もあるが有効という論文も多く出ているので比較しながら考えて欲しい程度の返答でした。

普段からイベルメクチンを処方している医師から実際の効果に関する話もありましたが、私からすると単なる実感だと健康食品のCMと変わらないので、有効ならちゃんとデータを出して論文にする必要があると言うと、今から振り返って論文なんかにできないし、開業医なので限界があるような事を言われました。

イベルメクチンを乱用する医師のためにイベルメクチン神話が作られてしまいましたが、使用している医師はイベルメクチンをどんな症状でも使用し、不思議な事に何にでも効くと言っていましたが、それこそイベルメクチン神話の信者にとっては万能薬のようなイメージが作り上げられた事によるプラセボ効果と考えられ、プラセボ効果なら他の薬剤でも効いた可能性があるとその医師に指摘しました。

その医師はイベルメクチンが効かなかったら何を使えば良いか分からないとも言っていて、医師として正しい医療を全くしていない事になりますが、こういう医師が教祖としてイベルメクチン信者に崇められている事が危険だと思います。

実際にイベルメクチン依存症が出現しているようで、イベルメクチンを乱用する医師の責任は非常に大きいと感じました。

全ての薬剤は臨床試験を行って安全性・有効性を確認する必要がありますが、イベルメクチンは臨床試験で安全性・有効性を認められていませんので、私にとってはSARS-CoV-2ワクチンと同じで医師は使用に当たっては非常に慎重に行う必要があると考えます。

使用した医師はイベルメクチンを使用すると直ぐに症状が改善したと言いますが、使用しなくても症状が改善したかもしれません。

当クリニックでは適正な医療を提供し、混乱を拡げないためにも極力SARS-CoV-2抗原定性検査は行わない方針ですが、それでも強い希望で検査を行い約100人の陽性者が居ましたが、検査をしていない患者さんの中にも感染者は居たと思われますので実際には数倍の感染者が受診したと思われますが、有効な治療薬がありませんので基本的にはイベルメクチンは当然の事ですが何も処方をしない患者さんも居ますが、重症化したという話は聞いたことがありませんし、当クリニックではイベルメクチンに関しては比較試験として有効性が認められないどころか、結局はほとんどが軽症で治るため治療薬もワクチンも要らない疾患と示したことになるかもしれません。