PCRは遺伝子検査に用いられる手法の1つで、特定のDNA断片(数百から数千塩基対)だけを選択的に増やして調べやすくするために用いられる遺伝子増幅技術で、感染症だけではなく癌に特徴的な遺伝子異常が存在するかどうかを調べる時にも利用されることもあり、採取したDNAが微量であってもPCRによりDNA配列を増幅させることで判定が可能となります。

Ct値とはPCR検査で遺伝子を増幅させる過程で遺伝子の量が設定された閾値に達した時点までに要した増幅回数で、サイクルとも言われ、Ct値の数字乗個に増幅されます。

検査に含まれている遺伝子が多ければ少ない回数で十分に検出でき、遺伝子が少なければ検出可能になるまでに要する増幅の回数が多くなります。

SARS-CoV-2のPCRではCt値を増やすごとに、より少ないウイルスでも陽性になり、理論的にはCt値10だとウイルスが1000万個以上ないと陽性になりませんが、Ct値20にすれば10万個以上、Ct値30では1000個以上、Ct値40では身体の中にわずか10個以上でも陽性になります。

COVID-19の場合、感染して発熱などの症状が出るには少なくとも10万個程度のウイルスが必要と言われていて、20~25サイクルで感染しているかどうかの判定は可能です。

しかし日本の国立感染症研究所のマニュアルが示す「リアルタイムPCR」は45サイクルで、国内メーカーの3つの検査キットでは40~45サイクルとなっていて、これらを使ったPCRでは、ウイルスが身体にたった10個程度存在すれば陽性と判定され、20サイクルで検査すれば陽性者は現在の100分の1程度になります。

更にPCRは遺伝子配列の類似性で判定するので、ここまでサイクル数を増やすとSARS-CoV-2の遺伝子配列に部分的に類似した従来の風邪コロナウイルスなどが存在していても陽性になる可能性があります。

そういう理由から国内でPCR陽性者とされた人のほとんどは咽頭に10~1000個程度のSARS-CoV-2に類似した何らかの遺伝子が付着している状態であり、COVID-19感染とは断定できません。

PCRは本来は20~25サイクル程度にして症状のある人だけが検査をしないと正確な診断ができません。

いまだにPCRができるかどうかのお問い合わせが多いですが、PCRを行って陽性者を無理矢理に見つける必要はなく、メディアなどに惑わされずに冷静に対応していただきますようお願いします。