COVID-19は2019年12月に中国・武漢で初めて報告された新型コロナウイルスSARS-CoV-2による感染症で、正式にはCoronavirus disease 2019です。

発見された当初は新型だったかもしれませんが、2年半以上も経っていまだに『新型」と呼ぶのには違和感を覚えます。

『NEWクレラップ』が常に進化しているから『NEW』が外せないとCMで言っているようにSARS-CoV-2も常に変異しているので『新型』と呼び続けるのでしょうか?

人に感染する従来型コロナウイルス(H-CoV)には229E、NL-63、HLU-1、OC-43の4種類があり、一般的な風邪を起こすウイルスとして重症化する事はほぼありません。

その後、重症肺炎を起こすSARS-CoV、MARS-CoVが現れ、今回のSARS-CoV-2は人に感染するコロナウイルスとしては7種類目になります。

全てのコロナウイルスの受容体は同じではなく、HLU-1、OC-43はインフルエンザと同じシアル酸、229EはAPN、MARS-CoVはDPP4で、NL-63、SARS-CoV、SARS-CoV-2はACE2です。

SARS-CoV-2はSARS-CoVと遺伝子配列が似ているためにSARS-CoV-2と命名されましたがSARSは強毒過ぎて自滅するように1年ほどで消滅しましたが、第2世代のSARS-CoV-2は宿主を生かさず殺さず程度に弱毒化して感染力を高めて世界中に拡がりました。

SARS-CoVもSARS-CoV-2も受容体がACE2で、年齢が低いほど活性が低いため年齢が低いほど重症しにくい事も共通しています。

SARSは正式にはsevere acute respiratory syndromeで重症急性呼吸器症候群と訳されますが、実際には初期症状は呼吸器症状ですが全身に様々な症状を認め、ACE2は呼吸器よりも腸に多く存在するため大多数の人が下痢を起こします。

病理組織像は間質性浮腫や線維化、細葉への間質液の浸潤、下肺野の無気肺などが主体ですのでSARSも結局はCOVID19と同様に血管内皮細胞のACE2機能不全による血管炎・血栓形成が本来の病態ではないかと私は考えます。

NL-63もSARS-CoV、SARS-CoV-2と同様にACE2が受容体ですが、発見されたのは2004年ですが実際には11世紀頃に229Eから分岐したと推定されていて、その頃には今回と同様に多くの重症者が居た可能性も考えられますが、長い年月を掛けて弱毒化して現在ではほぼ重症化しなくなったと思われます。

SARS-CoV-2も細胞侵入経路がデルタ株までは主にTMPRSS2経路でしたが、オミクロン株になって主にエンドサイトーシス経路に変わりましたが、TMPRSS2も年齢が低いほど活性が低いため子供はACE2活性と含めて2重に感染しにくかったですが、オミクロン株はエンドサイトーシス経路になり年齢依存性が無くなって子供も感染しやすくなっていますが、ACE2活性が低いため重症・死亡の危険が極めて低い事に変わりはありません。

SARS-CoV-2は既に一般の風邪程度に弱毒化していますが、これだけ多くの事が解明されているのにいまだに『新型』と言い続けるのは、SARS-CoV-2が今でも未知のウイルスで恐ろしい病気であるとイメージ操作するためであるように感じてしまいます。

当クリニックでは正しい表現を使う事を心掛けていますので、騒動の当初から病名としてCOVID19、ウイルスとしてSARS-CoV-2という名称を使っていましたが、理解できない方が居るかもしれないと考えて一時期、新型コロナウイルスという表現を使っていましたが、ほとんど解明されていますし2年半以上も経って『新型』というのもおかしいですので、最近はCOVID19、SARS-CoV-2という表記に戻していて、今後も継続していきます。